トウキョウトガリネズミが、ダーウィンが来た!「世界最小のミクロ珍獣北海道で虫とバトル」に出演しました

2021年5月30日 NHKのダーウィンが来た!「世界最小のミクロ珍獣北海道で虫とバトル」で、トウキョウトガリネズミが取り上げられました。

番組を見た後にこのHPにたどり着かれた方や久々の方は、ホーム画面から、ギャラリー(動画)のタブを選択して動画ライブラリの1~4をご覧ください。トウキョウトガリネズミの概要をまとめた動画をアップしてあります。

下記のギャラリーをクリックしてもいけます。ホームページの都合上トウキョウトガリネズミの生態は、1本の動画を3つに分割しています。トガリネズミとネズミの区別については、2020年10月から12月まで開催された北海道大学博物館の「トガリネズミ展」の期間中に会場の解説用に放映していた動画です。ホームページの都合上音声が着いていません。またパネルの参照という部分がありますが、今回は掲載できませんのでご了承ください。

ダーウィンが来た!とこの動画をみて、トウキョウトガリネズミを初めとするトガリネズミ類に興味を持っていただければ幸いです。

ギャラリー

今シーズンの捕獲調査を開始します

5月1日から、今シーズンの捕獲調査を本格的に開始します。2019年は4月27日から、2020年は5月2日から捕獲調査を始めました。今年は、これまでの捕獲成績から、5月中旬から本格的な調査を開始することにしました。

それに先立ち、4月29日からの連休を利用して、今日まで飼育小屋の模様替えと調査道具の点検などをしていて、あっという間にこの連休が過ぎてしまいました。

今年は、同時飼育可能頭数を増加するために、壁に固定していた棚を外し、キャスター付きの棚を入れました。捕獲個体の状況で記録する方法なども変わるので、それに如何に合うような飼育状況を作りだせるかが課題ですが、小屋が狭くて個体数が4頭を超えると干渉することが多く、工夫するのが大変です。これからの捕獲状況で、まだまだ変更が必要になりそうです。

奥の壁の棚をはずして、キャスター付きの棚を2個いれました。これまで2個の飼育ケースしか置けませんでしたが、最大12個の飼育ケースが置けるようになりました。

トウキョウトガリネズミが長時間居るつらそうな場所

散形花序の根元に居る場合もあります。それは、複散形花序の時に比べて、とてもつらそうな体勢になります。飼育ケースに入れる植物にもよりますが、ぶら下がる体勢で、結構長時間いることがあります。そのようなつらい体勢にならなくても良いのにと思うのですが・・・。北海道に生息する他の3種では、ヒメトガリネズミで、複散形花序の根元に収まっていた個体が1頭いましたが、他の種では、このようにぶら下がる体勢でじっとしているところは未だ観察されていません。

散形花序の根元は狭いので、どうしてもぶら下がる体勢になってしまします。
折れた茎の先でも、このようにじっとしていて、寝ていると思われることがあります。
どう見ても楽そうには見えませんが、このような体勢で寝ているような時もあります。
このような体勢だと、無理をしている体勢とは一見見えません。でもよく見ると、小さなオオヨモギの葉の上に乗っているだけの様に見えます。決してそんなに安定している場所では無いような気もします。すべては、体重が極端に軽いからなせる技なのかもしれません。

トウキョウトガリネズミがいる場所 複散形花序と散形花序の違い

写真1 複散形花序の根元にいた跡
写真2 散形花序の上で寝ている状況

 

複散形花序の根元にいる場合、グラスの中にいるみたいにしっかりと体を保持してくれる状態になります(写真1)。これに対し散形花序の上にいる場合は、ただ乗っかっているだけになります(写真2)。

風が吹いて草が揺れていても、複散形花序内に居れば、そう簡単に振り落とされることはないですが、散形花序上は不安定です。また、複散形花序の中にいると天敵から見つかりずらいことが判りますが、散形花序の上は明らかに天敵に見つかりやすいと思われます。

散形花序で寝ているのは、飼育下で、風もなく、天敵もいないと安心しているからかもしれません。

トウキョウトガリネズミがいる場所は、複散形花序の根元

上記のような写真を掲載して、普段は草の中とかつぼみの中とか書いていますが、実際に居る位置は下図の2になります。1ではありません。

この花の付き方を複散形花序(ふくさんけいかじょ)と言い、散形花序(上記写真の赤丸)が複数集まったものです。

希に散形花序のものも使っていますので、1の位置の場合もありますが、良く使う植物は複散形花序のものです。写真の場合、複散形花序全体が開ききっていなくて丸まっている状態のものを使用しているので、中央、すなわち2の位置にいます。

トウキョウトガリネズミが如何に小さく、軽くても、散形花序の一つ一つが小さいとさすがに支えきれません。というより、この場合は散形花序の中に入ることができないというのが事実です。

 

オオアシトガリネズミ 見られていたら恥ずかしい? 2

前回は仰向けになってなかなか起き上がれない映像でしたが、白黒でわかりづらい映像でしたので、今回は明るい時撮影された映像です。仰向けにはなっていませんが、仰向けになる状態は今回の映像よりさらに勢いよく落ちる時になります。このように失敗するのは1割程度ですが、仰向けになるのはやはり希です。

穴の底からの高さは、3cm程度しかありません。オオアシトガリネズミは、深さ15cm程度の墜落函から時々脱出することがあります。墜落函の壁面に爪が引っかかるためだと考えられますが、使用している墜落函の構造上、必死にジャンプしているときは3cm以上は飛んでいると思われます。

穴に入るのは、管の出っ張り具合や素材などに加え、軽くジャンプするには微妙な高さなのかもしれません。1.5から2cm程度の踏み台になるようなものを置くだけで、失敗は見られなくなります。

オオアシトガリネズミ 見られていたら恥ずかしい?(仰向けから起き上がる)

人間で、他人に見られていたら、ちょっと恥ずかしいかもしれないシーンです。

オオアシトガリネズミが、飼育ケースの連結部分になっている筒に登ろうとして何回も失敗して落ちているのですが、そのうち完全に仰向けにひっくり返ってしまいました。完全にへそ天状態になってしまい、起き上がるのがちょっと大変だったようです。赤外線で撮影されているため、白黒なのでよく見ないとわかりにくいかもしれませんが、背中は黒く、腹は白く写ります。体全体が白っぽいのが黒くなったら、それは正常な状態に戻れたということです。

わかりましたでしょうか?1回軽く半身状態で腹をみせましたが、すぐに立ち直りました。しかし、その次は完全に仰向けになってしまい、最後は背中で少し雑巾がけみたいな状態になって、元に戻りました。飼育ケースは衣装ケースを利用したものですので、底はそもそも滑りやすく、引っかかりが少ないため、元になかなか戻れなかったのだと思います。

 

トウキョウトガリネズミのねぐらつくり 5

飼育下で作成する巣の一般的な大きさ
上記の写真と同じ巣

これまでの動画の行動で、作られる巣の形が上記の写真のようになります。実際の大きさは、そこにある草の量と密度に左右されます。

写真のような大きさは、比較的標準的な大きさになります。大きさは、巣を作った場所の草の厚み、密度(草の絡み具合)や量の影響をかなり受けますが、草の量が少なく、草の密度も高くないとスカスカの長径5cm弱、高さ3cm弱の巣を作ることもあります。この場合は、巣として編みこんでいない草を除きますと、中が見えてしまうような骨格だけ見たいな巣になります。また、草の厚みがあるところでは、写真のように長径7cm程度、高さ5cm程度のしっかりした巣を作ります。

草の厚みや量がいかにあっても、明らかにトウキョウトガリネズミが自身で巣を丸くするために引き込んだ草とそうで無い草との違いは明らかにわかります。

トウキョウトガリネズミのねぐらつくり 4

巣作り開始時の状況 赤丸を比べてください。
巣作り完成時 丸くなり、周辺の草が流木側に寄っているのが判ります。

巣作りを始めて5日後の状況です。赤丸の草の状況を比べて見てください。草が流木側により、少し丸まったような形状になっているのが判るでしょうか?

5日後なので、アングルが少しずれていますが、左下に同じトウキョウトガリネズミが写っているので、それで大きさの割合の比較ができると思います。いつ完成したと判断するのかは難しいですが、明らかに周辺より草が集められて、草の密度が高くなっており、球体ではないですが比較的丸みを帯びた草玉みたいなものを形成したが判ります。

この中で、じっとしいることが時々観察されます。

 

トウキョウトガリネズミのねぐらつくり 3

明るい時にも巣作りをしています。長い草を引っ張ろうしたりしていますが、抵抗があり、体が持ち上がってしまうこともあるようです。映像は、見にくいのでかなり明るく変更していますが、9時を過ぎているので、外はもう明るいです。完全な夜行性では無いことが判ります。

小さい体なので、やはり巣作りは大変な作業みたいです。