嶮暮帰島の生態系のイメージ

嶮暮帰島の生態家のイメージ(絵は、(株)野生生物総合研究所の森田さんによるものです)

東日本大震災から10年目ということで、嶮暮帰島について思いつくことを書いてきました。合わせて、気がついたら嶮暮帰島に通い初めてから20年を超えていることを改めて認識しました。しかし、意外と嶮暮帰島の変化についてまとめていなかったことと、記録もあまりしっかり取っていなかったことに気づきましたので、資料を整理しようと思ったのがきっかけでした。この22年間、嶮暮帰島に行かなかった年はありませんでしたが、いつも、調査準備に疲れ、現地では時間が足りなく、睡眠不足で、とんぼ返りで自宅にもどりトガリネズミの飼育と仕事するということが恒例になっており、とにかくトガリネズミ調査以外の調査は基本的には行って来なかったのも事実です。しったがって、トガリネズミ以外の島の記録が曖昧なところも多いことが判りました。

改めて整理していて気づきました。津波の話から始めましたので、また重要なことを書いていなかったことです。上の図が、嶮暮帰島の主な鳥類と哺乳類が一番数多く生息している場所のイメージ図です。これをもっと早くアップしておくべきでした。嶮暮帰島のイメージが全く無い状態でのこれまでの話はわかりにくかったと反省しました。

図の左側は外海で、右側は琵琶瀬湾になります。エゾヤチネズミとオオアシトガリネズミは台地の上部にも、またトウキョウトガリネズミがいる琵琶瀬湾側の海岸線にいますが、この2種が多いのは台地上の上部になります。

 

 

 

嶮暮帰島 雑談 テント

ケシュアARPENAZ FAMILY 4.2

近年はキャンプが着目されていて、グッズは本当に多様になりました。しかし、私の場合は、登山のキャンプでも、キャンプ場のキャンプでもなく、調査のためのキャンプですので、テントに必要としている内容が少し異なります。また、テントは寝るだけのものではなく作業場なのですが、登山隊の共同テントほどの大きさと強度がなくても大丈夫ですが、設営や撤収を楽しむような時間はありませんので、強風でも素早く少人数設営でき、ある程度の降雨と強風に耐えられるものでないと困ります。つい最近までは、個人用の寝るためのテントは山岳用テント、共同テントはコールマンスクリーンテントを使用していました。現在コールマンスクリーンテントは3代目です。

嶮暮帰島におけるキャンプは、結構過酷です。強風、暑いですし、寒いですし、海鳥の糞爆弾をくらいますし、潮風をうけます。コールマンスクリーンテントは、細かいことは別にして丈夫で結構使い勝手が良いと思います。最近のものは以前よりも少人数でも設営しやすくなりましたが、嶮暮帰島のように常に結構な風が吹いているところでは、2人でも結構困難で、一人では至難の業になります。そう、私にとっては、一人では設営できないのが最大の欠点なのです。

最近、そろそろトウキョウトガリネズミの繁殖に決着をつけなければと強く思うようになってきました。そこで2019年に嶮暮帰島の捕獲調査にこれまで以上に複数回行くためには、ベースキャンプ用のテントを一人で建てられるようにするためにテントを探すことにしました。値段も手頃で、一人でも設営できそうなものが、ようやく見つけました。「QUECHUA (ケシュア) キャンプ ファミリーテント ARPENAZ FAMILY 4.2 – 4人用 2ルーム」です。もう廃盤になってしまいましたが、一時期雑誌にコスパが良いテントとして紹介されていました。

結論を言いますと、私的には値段を多少上げて、裾にスカートとつけて、入り口だけで良いので網戸をつけて、フレームをアルミにしてくれれば、最高だったのにと思います。耐水性や耐風性については、概ね満足ですし、強風でも一人設営できるとこには満足しています。しかし、スカートがない分換気は良いのですが、夜は寒く、コシジロウミツバメの侵入が容易ですし、網戸がないので日中は暑いし、入り口を開けていなくても、蚊や虫が沢山侵入してくるという状態です。日本の気候に合わせて作っていないので仕方ないですが、とても残念なテントです。スカートについては、ブルーシートは切ってクリックでとめて代用していますが、暑さだけは改善されません。残念です。

モデルチェンジされましたが、私に取っては改悪でした。別のメーカではスカートや網戸が無いモデルは少ないですが一人で設営できない、一人で設営できるが、スカートと網戸が無いという日本の気候にはあっていないのが残念です。私の場合、整備された環境で使用するものではないので、要求が異なるためですが、あと一つなのに残念です。せめて、網戸だけはつけて欲しいです。

 

嶮暮帰島のいきもの 鳥の声

嶮暮帰島には入島制限があります。現在は、仲の浜ペンションポーチだけが嶮暮帰島ツアーをやっていて、日中だけ観光客が島を訪れることができます。私達は、浜中町の入島及び宿泊許可を得て捕獲調査を行っています。

私は22年間嶮暮帰島に年に最低1回、多い年は5回キャンプして来ました。嶮暮帰島でキャンプをして、毎年感動するのは、嶮暮帰島の音、特に鳥の鳴き声が、時間帯によって、季節よってめまぐるしくかつ劇的に変化することを体感することです。7月は生命の爆発的な活動力を感じますが、9月中旬を過ぎると生命をほとんど感じない不気味な感じに囚われるほど静寂に包まれます。多分体感しないと判ってもらえないと思いますが、これほど生命の活力を肌で感じることが出来る場所は、そんなに数多くないと思います。

季節的には5月頃から、コシジロウミツバメ、オオセグロカモメ、ウミネコなどの海鳥とオオジシギ、エゾセンニュウ、ノビタキ、クイナなど草原性の鳥が少しずつ訪れ、段々にぎやかになって来ます。7月をピークに8月中旬になると段々静かになり、9月中旬になりますと、信じられないほど静かになります。この間の劇的は変化は、表現が難しいのですが、ピーク時は生命のいぶきが爆発しているパワーを鳥の鳴き声多さ、大きさから感じます。

また日中と夜間では全く異なり、夜間は日中とは比べものにならないほどパワフルです。しかし、どんなにパワフルでも日の出60分前頃から、一瞬ほぼ無音みたいに鳥の鳴き声がピタットと無くなる時が10~20分程度必ずあります。それは、夜の主役のコシジロウミツバメやカモメ類から、日中の主役のエゾセンニュウに変わる一瞬の変わり目の時です。この時の静けさが何とも言えません。

しかし、この変化は8月中旬くらいまで、その後ような季節的、時間的変化がピタッと無くなります。この差は、恐怖感じるくらいの差です。夏場の夜間は他の生き物と一緒にいるという実感を得ますが、秋になると一人だけ死の島に来たのではないかと思うほど生き物の気配を感じ無くなってしまいます。

夜間寝ないで調査をする、トガリネズミ調査の特権かもしれません。出来ればこの生命の活力を多くの人に感じてもらいたいと思います。身近な環境でも同様なことが起きているはずなので、本来ならどこでも体感できるはずなのですが、嶮暮帰島で徹夜の調査を行うと感覚が研ぎ澄まされるからかもしれませんが、数十倍増幅されて感じることができます。この感覚を私が十分お伝えできないのがもどかしく、残念です。

下記の映像は、7月中旬の同じ場所の状況で、前半は22時頃で、後半は3時半頃の状況です。鳥の声に着目してください。本当の静けさはこの後半のよりももっと少ないです。無音だと気づいて、撮影しようと外にでたらもうこれくらい鳴いていました。正直、寝ぼけていたので出遅れました。

 

嶮暮帰島のいきもの クイナ

嶮暮帰島で、トウキョウトガリネズミの捕獲調査をしていると文句を言われることがあります。それは、クイナです。クイナは、捕獲調査をしている環境周辺で営巣しています。

罠を設置している場所をクイナな行動圏ですので、時々ニアミスをします。そうすると、ピィ=と鋭く何回も鳴かれ怒られます。とは、言っても、クイナは草の中ですので、見る事はほとんどありません。

しかい、映像のように捕獲調査地域を利用しており、雛までつれています。なるべく、クイナの繁殖の邪魔をしないように、怒られたらできるだけ、速やかにその場を離れるように努めています。