9月3日にしらぬかトウキョウトガリネズミ展が無事終了しました。

9月3日に無事「しらぬかトウキョウトガリネズミ展」が終了しました。来場していただいた方、また関係者の方々に改めて御礼申し上げます。

実は、展示期間中に新型コロナを発症してしまいました。当初私自身は、2日ほどで峠を越え翌週には会場に行くことはでき、その後の「おはなしの会」などは、関係者の方々にご支援いただき無事終えることができました。しかし、その後緊張が緩んだのか体調が思わしく無い中、嶮暮帰島における捕獲調査、この冬の研究のために飼育する個体の選別のために一時期飼育個体数が増えたこともあり、トガリネズミの飼育するだけで精一杯という日々が続いておりました。そして、HPにトウキョウトガリネズミ展終了の記事を載せること自体できませんでした。また、会場にてアンケートでご質問していただいた方に対する返信もやっとできたところです。大変失礼しました。

今回の「しらぬかトウキョウトガリネズミ展」には、期間中に250人ほどの方にお越しいただきました。また、トガリネズミのおはなしの会には、定員50名のところ70名の方に来ていただきました。改めて御礼申し上げます。

やっと、色々なことにも目処がつき、また体調も気力も回復してきましたので、徐々にHPの更新を行って行きますので、よろしくお願いします。

<最終日の状況>閉館間際まで多くの方に見てたいだきました。

展示を楽しんでもらうためのヒント(オオアシトガリネズミ編)

飼育していると個体の個性が出ます。展示しているオオアシトガリネズミは、流木の下がとてもの好きなようです。飼育ケージの中に入れてある流木は、かなり外からも見えるような構造になっていますが、本人にはあまり周囲から見られているという認識がないようです。寝ている姿や毛繕いなどリラックスしている行動が見る事ができます。

オオアシトガリネズミの多くは、飼育ケージ内にある草を丸めて巣を作り、そこを主に利用する個体が多いですが、今回草が少なめになっていることもあり、流木の下を主に使っているのかもしれません。しかし、多くの個体は、草が少なくても草を集めてボール状の巣を作りますので、展示している個体は他の個体よりも流木の下を好んでいるように見えます。

私は、オオアシトガリネズミの行動は見ていると、ちょっとドジなやつだけど、憎めない可愛いやつと感じてほのぼのとします。みなさんはどのように感じますでしょうか。今回、オオアシトガリネズミの行動は展示している4種の中でも良くみることができますので、少し長めに見てもらえればと思います。

展示個体のオオアシトガリネズミは、流木の下がお気に入りで、寝ている姿やくつろいでいる姿を見る事ができます。

本日から、しらぬかトウキョウトガリネズミ展の開催です。

いよいよ、8月5日本日から、トウキョウトガリネズミ展が開催されます。昨日の4日に、白糠町の公民館で展示に準備に行きました。

白糠町に14時頃についたら、すでに展示が90%完成しており、びっくりしました。白糠町の公民館の関係者や役場の方々のご協力で、すでに、パネレは設置され、展示するトガリネズミの個体を設置するだけという状態でした。微修正して、16時には完成しました。関係者の方々の熱意を強く感じました。この展示は、約1ヶ月間ととても長いですが、成功間違いなしと確信しました。関係者のみなさま、ありがとうございます。今後1ヶ月よろしくお願いします。

ちなみに、展示準備完了の16時以降18時までの2時間で、展示を見ていだき、公称観覧者20名ということになりました。実は、公民館に来た小学生がトガリネズミ展を見て感動して、家に戻って両親を連れて再度来てくれたそうです。すでに、公式開始前にリピーターさんができました。とてもうれしいです。期間中にリピーターさんが増えることを期待したいと思います。

ぜひ、これを見ていただいている方々も、機会があれば展示を見ていただければと思います。また、これから展示会場よりも詳しいトガリネズミについての情報を展示期間中は、アップしていきますので、よろしくお願いします。

8月4日展示準備終了直後の状況

「しらぬか トウキョウトガリネズミ展」の目的と経緯 その1

今回の展示は、私達(河原と六田晴洋氏)の趣旨に賛同していただいた白糠町さんが、町主催として開催されるものです。

今回の目的は、以下の3つです。                          1)北海道に生息しているトガリネズミ属4種の生体を同時に展示する    2)六田晴洋氏によるトウキョウトガリネズミの写真と映像とのコラボで、よりトウキョウトガリネズミを知ってもらう                 3)トウキョウトガリネズミを通して、恋問海岸、白糠町の自然の素晴らしさを知ってもらう

私は、これまでトウキョウトガリネズミの展示を、北海道浜中町の霧多布湿原センター、東京都の多摩動物公園、札幌市の円山動物園、北海道大学総合博物館など、延べ10回以上行ってきました。

しかし、これまでと異なるのは、北海道に生息するトガリネズミ属4種が、実際に同じ場所で生息している地元で、その地元産の個体を4種同時に展示することです。このことは、すべてが初めての試みで、大げさに言えば世界初挑戦ということになります。

この展示は、希少種に選定されているトウキョウトガリネズミの生態研究と希少種の域外保全技術開発の一環としても行っているものです。この展示は、多くの方々にトウキョウトガリネズミを知ってもらうだけではなく、この展示自体が、生態及び域外保全技術開発研究に貢献する知見を得るためにも行っています。

2007年浜中町と多摩動物公園の共同開催展、霧多布湿原センターにて、
2007年浜中町と多摩動物公園の共同開催のトウキョウトガリネズミ展の様子(霧多布湿原センター)

 

しらぬかトウキョウトガリネズミ展を白糠町で2023年8月5日から開催します

今回、北海道白糠郡白糠町において、「しらぬかトウキョウトガリネズミ展~世界最小級の哺乳類の素顔に迫る~」を開催することになりました。

期間は2023年8月5日から9月3日まで、白糠町公民館で行います。主催は白糠町で、トウキョウトガリネズミを愛するメンバーと共に全面的に協力させていただきました。

これからトウキョウトガリネズミ展終了まで、この展示に関連する内容を随時紹介していきます。展示に関する裏話から、展示会場の内容をより理解してもらえるような解説、展示会場に行けない方にも展示の内容がわかるような情報を提供します。これまで、何回かトウキョウトガリネズミ展を行ってきましたが、今回は多くの仲間の協力を得て、これまでとはちよっと趣が異なるものを目指していますので、ぜひ、お付き合いください。

 

11月30日から北海道大学博物館でトガリネズミ展を開催しています

11月30日から12月12日までの予定で、北大博物館でトガリネズミ展が開催されます。

https://www.least-shrew.jp/shrew/wp-content/uploads/2021/12/togarinezumi_2021_ss.pdf

今回は、東海大札幌キャンパスと円山動物園が参加・協力しています。私は今回トウキョウトガリネズミの生体の出展には参加せず、トウキョウトガリネズミに関するポスター展示協力と講演会に参加します。

今年は、トウキョウトガリネズミが出産などがあり、生体を提供する余裕がありませんでしたが、北大の大舘先生が今年はトウキョウトガリネズミの生体を確保されていたので、その個体が展示されます。

これまで、国内におけるこれまでトウキョウトガリネズミの生体展示はすべて私の捕獲個体のみでしたが、新たな展開が始まり喜んでいます。昨年初めて、展示期間中にトウキョウトガリネズミが死亡してしまいました。実は、展示する時期に生存個体を提示用に確保しておくこと自体かなり難しいですし、さらに長い展示期間だと死亡させないようにするのはかなり難しいのです。したがって、私一人では生体展示用の個体を常に用意しておくことは、かなり厳しい状況に追い込まれていたのも事実です。しかし、複数の人が提供できるようになったことは、トウキョウトガリネズミの生態解明にとっても素晴らしいと思っています。

 

 

 

ハマナスの枝でわざわざ餌を食べるトウキョウトガリネズミ

最近希に、生きたミルワームを餌箱から持ち出し、わざわざハマナスの枝の上まで運び上げて、そこで食べているという行動が見られます。

今日突然をハマナスの枝に生きたミルワームを運んでいるのを確認しましたので、慌てて、手持ちでEOS80D使って撮影したものです。三脚も使っていないのでぶれていますが、なぜこんなところでわざわざ食べるのか不思議です。

北大博物館のトガリネズミ展が終了しました。

寒くても元気なトウキョウトガリネズミ

10日前から、これまでなかったサイト攻撃が入るようになってきたので、セキュリティー対策を強化していたために書き込みが遅れました。

12月20日で、北海道大学博物館で開催していたトガリネズミ展が終了しました。今回は残念ながら、提供していたトウキョウトガリネズミやオオアシトガリネズミが途中で死亡してしまいました。トウキョウトガリネズミが会期中に死亡したのは、今回初めてです。8月に捕獲した個体なので、越冬個体で寿命だっかかもしれませんが、残念です。

新型コロナウィルスの感染拡大状況から、今回私は博物館に行くのを控えていましたので、ボランティアの学生さんに本当頑張ってもらいました。感謝です。

結局今年もトウキョウトガリネズミは1頭で、冬季の行動観察を行うことになってしまいました。

セキュリティー対策しているうちに、あっという間に年末になってしましました。みなさま、良いお年をお迎えください。

北大博物館のトガリネズミ展示の裏側(2)

左が生きたミルワーム、右はゆでミルワーム、ミルワームは、ゴミムシダマシの幼虫です。

トガリネズミの展示を見た方は、トウキョウトガリネズミに生きたミルワームが与えられているのをみて、驚く方もいらっしゃいます。

展示場におけるトガリネズミの餌はトウキョウトガリネズミ以外は、基本は丸く固められた人工餌に、おやつとして生きたミルワーム、ゆでミルワーム(缶で販売されているもの)が与えられています。北大で研究用に飼育されている個体は、人工餌が与えられていますが、私の飼育している個体には、生きたミルワームとゆでたミルワーム基本に、時々生きたコオロギを与えています。

トガリネズミにも、個体ごとに嗜好があって、人工餌への食いつきが悪く死亡する個体もいます。捕獲個体の少ないトウキョウトガリネズミでは、そのようなリスクを負えませんので、私は人工餌を使用していません。トウキョウトガリネズミに限らず、生きたミルワームを好んで食べていたかと思うと、突然ゆでたミルワームを多く食べるようになったりします。人工餌を食べるようになっても、それだけしか与えていないと突然食べなくなることもありますので、私はまだ人工餌だけでの飼育には踏み切れていません。

人工餌の方が栄養バランスが整っており、安価で交換も楽です。生きたミルワームの場合、死亡しているミルワームを取り除きながら必要なグラム数を選別するため、かなりの時間を要します。また、栄養バランスを考え、生きたミルワームにドッグフードを与えてたりしていますので、餌になるミルワームの世話もありますので、手間が結構かかります。

トウキョウトガリネズミ以外の3種のトガリネズミは、ミルワーム(生きた、ゆでの関係なく)を入れたケースの中で糞尿をしますので、残っていても再利用できることがほとんどありません。しかし、トウキョウトガリネズミは、餌を入れたケースから取り出して食べることがほとんどですし、中に入っても糞尿をすることはほとんどありません。種によってもかかる手間が異なります。1頭当たりの餌やりかかる手間は、我が家のイヌよりもかかっていると思います。

展示期間中は、毎日北大の学生さん達が2人で約1時間かけて作業を行い、維持しています。

北大博物館のトガリネズミ展示の裏側(1)

バックヤードの飼育状況

現在北大博物館で開催しているトガリネズミ展は、生体を展示していますので、通常の展示よりも多くの人に支えられて運営されています。

生体を展示している動物園や水族館も、生体を展示していない博物館も法律上では同じ博物館として扱われますが、その館の基本コンセプトにないものを展示する場合は、これまで無かった日々の作業工程や作業量が増加することになります。したがって、北大博物館は通常生体を展示していないので(水生昆虫の展示はありますが・・)、色々と関係者にご負担をおかけすることになります。

トガリネズミ展を維持するためには、期間中展示されている個体以外にバックアップ用の個体も博物館内で飼育しています。展示個体も含めこれらの個体の世話は、北大の学生ボランティアが交代で、毎日1回を行っています。2人体制で行ってもらっていますが、1時間程度かかります。

博物館の職員の方は、主にバックアップ用の飼育個体がいる部屋の日長の調整を行っていただいています。長期間明確な日中と夜が無い状況が続くと、体調に異常を来します。作業は単に時間通りに照明をつけるという行為ですが、トガリネズミの体調管理においてとても重要な作業をしていただいています。さらに、トガリネズミに変化がないか、常に気にしていただいていて、頻繁に確認していただいています。

体が小さいので飼育も楽と思われるかもしれませんが、長生きさせるためには細かい管理が必要で、中・大型動物と比べるとちょっとしたミスや油断が死亡原因となります。実は、累代飼育が可能になっていない北海道に生息している4種のトガリネズミを1ヶ月以上も生体展示するのは、かなりハードルが高いことなのです。それを可能にしているのが、博物館の職員の方と学生ボランティアの方々なのです。