ズートピアのMr.ビックはトガリネズミ? その2(改めてトガリネズミの鼻を良く見てみました)

私には、Mr.ビッグの鼻先は、少しへこんでいるように見えて、ブタというよりもゾウの鼻先に様にも感じました。そして、トガリネズミの鼻先は、ピンク(肌色)ではなく、茶色だったことに気がつきました。

まず、トガリネズミの鼻の基本形は、以下の写真の様になります。鼻の形はブタやゾウの様な鼻ではなく、イヌやネコの様な鼻先をしています。色は、茶色から黒に近いです。実は、トガリネズミの鼻の写真を改めて見直してみますと、鼻の先端は茶色ですが、鼻の穴の周辺は肌色でした。鼻は黒いというイメージを持っていましたが、それは標本(死んだ個体)を観察していましたからで、生きている個体の写真を見直して見ますと、鼻全体が茶色という訳ではないことに、改めて気がつきました。なお、トガリネズミの鼻の形(鼻の穴の形)は、属によって形が違うことが知られており、アメリカで良くみられる属は、北海道にいるSorex属とは異なりますが、基本形には差はありません。

オオアシトガリネズミの鼻(クリックすれば拡大します)
オオアシトガリネズミの鼻(クリックすれば拡大します)

また、改めて写真を見直して見ますと、鼻先の色には顕著な個体差があることにも気がつきました。下の写真はトウキョウトガリネズミの写真で、鼻先の色が茶色というよりも肌色に近い個体もいることにも気がつきました。(興奮していると鼻の色も変わるかもしれないと思いましたので、今後これについて検証してみたいと思います。)

トウキョウトガリネズミの個体差の例(クリックすれば拡大します)
トウキョウトガリネズミの個体差の例(クリックすれば拡大します)

しかし、多くの個体の鼻先は茶色で、北海道に生息する4種とも同じ感じになります。

北海道に生息するトガリネズミの鼻先比較(クリックすれば拡大します)
北海道に生息するトガリネズミの鼻先比較(クリックすれば拡大します)

ということで、ズートピアのMr.ビックは、トガリネズミを知っている人であれば、トガリネズミと分かるように描かれていますので、鼻の形や色でいちゃもんをつけるつもりは毛頭ありません。むしろ、多くのことを学ぶきっかけになりましたので、とても見て良かったです。また、地下帝国のボスみたいな位置づけも、実際にはそのような生態かもしれないとも想像することもありますので、とても興味深いです。ただ、凍らせるぞと脅し文句は彼らの生態のどこにつながっているのかに悩んでいます。キャラクターの設定をした人は、結構動物のことを詳しく知っている人ではないかと思います。何回も見直して、色々と考察するきっかけを得たいと思えたとても興味深い映画でした。

 

トガリネズミとネズミ区別3 前足と歯(頭骨)

北海道でネズミみたいな死体を結構見かけることがありますが、人家周辺以外ではオオアシトガリネズミが圧倒的に多いようです。

死体によるトガリネズミとネズミの区別は、その場で前足の指の数を確認すれば判ります。トガリネズミは5本で、ネズミは4本です(左右は関係ありません。手元にあった写真の都合です。あと、くれぐれも、素手で触らないように・・)

また、死体が損傷していた場合、頭骨があれば歯の生え方でも区別することができます。切歯から臼歯間までの歯が無いのがネズミで、すべての歯が並んでいるのがトガリネズミです。頭骨の写真を比べると、鼻先(吻)にあたる頭骨の長さと形が異なることが、トガリネズミとネズミの吻の形状の差につながっていることが判ります。

前足の指の本数、または歯の生え方のどちらか一方でも確認できれば間違いありませんが、機会があれば両方確認してみてください。

トガリネズミとネズミの区別2(野外で見かけた時の判断)

前回の続きです。まず、ここでは、北海道での話が前提ということで話を進めます。(北海道以外も含めると注釈を多数入れる必要があるため、わかりにくくなりますので・・)

皆さんは、トガリネズミとネズミの区別をどのように判断されましたか?野外で、動いているのを見たとき、または死体に触らず、外見的に判断する場合から考えます。結論から言えば、「鼻先が細く尖っていて、尾が頭胴長の半分より少し長く、尾を上げながら走る、全体的に黒っぽい」感じがトガリネズミと言うことになります。

お気づきなったと思いますが、まず顔つきが違います。トガリネズミは鼻先が尖っていて、ネズミはトガリネズミに比べると丸い鼻先になります。

また、トガリネズミは、尾の長さが概ね頭胴長(体全体を伸ばした状態で、鼻先から尾の付け根までの間)の1/2以上ありますが、ネズミには、尾が頭胴長と同じかそれ以上あるものと、頭胴長の1/2以下の2つのタイプがあります。更に言えば、トガリネズミはネズミと比べて体色が全体的に黒く感じます(トガリネズミとネズミの比較1を参照)。

上の写真の左下の秤の写真を見てもらえると頭胴長と尾の比率の感じが解ると思います。しかし、他の写真を見ると止まっている状態では、エゾアカネズミもエゾヤチネズミも頭胴長同じかそれ以上という感じに見えます。すなわち、移動している(走っている)状態とジッとしている状態では、頭胴長と尾の比率の感じ方(見え方)が異なります。また、トガリネズミは基本的には尾をあげて移動しますが、ネズミは尾は地面につけていることが多いのが特徴です(ネズミの足跡には尾の跡がつくのが特徴です)。

実際に野外で動いているトガリネズミか、ネズミに遭遇した場合、鼻先を確認できるような状態は意外とありません。大概は、走っている場合が多いので、後ろ姿など顔が見えな状態に遭遇することになります。したがって、「小さくて、(鼻先が細く尖っていて、)尾が頭胴長の半分より少し長く、尾を上げながら走る、全体的に黒っぽい」というイメージが持てれば、たとえ鼻先が確認できなくても、今、目の前を通過したのはトガリネズミであったのか、ネズミであったのかがわかります。(続く)

トガリネズミとネズミの区別 1

時々、トガリネズミに関しての問い合わせもいただきます。その多くは、「これはトウキョウトガリネズミではないか」と「トガリネズミなのかネズミなのか」の2つに集約されます。また今年の干支が「鼠」なので、例年になくトガリネズミが話題にされる時期なので、問い合わせが多くなります。関心を持ってもらえるのでうれしいです。

昨年12月の講演会に限らず、トガリネズミに関する講演では、必ずトガリネズミはモグラの仲間で、ネズミとは全く別ものであることについて触れますが、あまり時間を割くこともできないので、十分理解してもらえない状況で先に進んでしまうことも多いので、今回何回かに分けて説明してみたいと思います。

まず、分類学的にどうこうと言う前に、姿形でトガリネズミとネズミを自身をもって区別できるようになることが重要です。以下の2枚の比較写真を見て、どこが区別のポイントかをまず考えて見てください。まず区別のポイントがどこかを自分で考えることが、野外で瞬時に区別できる能力アップにつながります。

北海道のこの時期、「雪の上をネズミみたいな生き物が歩いているのを見た」という話が時々あります。それが解るようになります。回答は次回で。

本日展示の準備をしました

展示状況1 本日、北大総合博物館は休館日でしたが、トガリネズミ展の準備を飼育支援員としてトガリネズミの世話してくれる北大の学生さん達と一緒に行いました。

 展示期間中、飼育支援員が、トガリネズミの日々の様子やごはんタイムなどの情報をTwitterで発信していますので、そちらも見てください。詳しくは下記をご覧ください。https://www.museum.hokudai.ac.jp/display/special/15611/

 展示されている生体は、トウキョウトガリネズミ、オオアシトガリネズミ、エゾカアカネズミ、エゾヤチネズミの4種です。今回は、大舘先生が来年の干支であるネズミと異なる点にこだわって解説を作成されましたので、それも見どころです。大舘先生は、ウイークデーを中心に、私は土日を中心に昼から1~2時間程度解説員として参加する予定です。

 今回の展示では、昨年まで流していたトウキョウトガリネズミの映像をリニューアルしました。留学生の飼育支援員が、前足を動かす仕草を気に入ってくれたみたいです。

 

北海道のトガリネズミ展を北大博物館で開催中

10月12日から11月11日まで、北海道大学博物館で「北海道のトガリネズミ展」を開催しています。

https://www.museum.hokudai.ac.jp/display/special/13911/

 

昨年のトウキョウトガリネズミ展につづき、北大低温研の大舘先生と共同で今年は北海道に生息するトガリネズミ4種の生体展示を行っています。トガリネズミ4種の生体展示は、国内初(もちろん世界初のはず)の展示です。

これまで4種の展示がされなかったのは、トウキョウトガリネズミが近年まで生きて捕獲することが困難であったこと、また、同時に4種を確実に捕獲し、長期間飼育するという技術も十分確立していなかったからです。

今回は昨年のトウキョウトガリネズミ展より、見てもらえるチャンスが増えるように展示にも工夫をしましたので、ぜひ見に来てください。

展示期間中は、大舘先生や私が解説していることもありますが、常にいるわけでないので、見所や裏話などを紹介していきますので、参考にして見ていただければと思います。