トウキョウトガリネズミは、本当はこんなところに隠れているはず!?

トウキョウトガリネズミがどこにいるか、どのように見えるのかについてのポイントが解っていただけたと思います。

そこで、野外における飼育下でトウキョウトガリネズミの行動を見ていると、暑いという状況もあるのか、写真のようなところに隠れます。これなら、鳥などに見つかる可能性はとても低く、地面は砂ですので、風がふけばこの場所の方が暑さをさけるのに最適だと思われます。

しかし、このような状況を本当の野生下では見たことがまだありません。このような状態は少なくとも砂地では、当たり前のように思えます。自然な行動を見る事ができるのにはまだ時間がかかりそうです。

私はどこにいるでしょうか?追加問題回答

トウキョウトガリネズミの居場所は、すぐにわかりましたでしょうか?動物を見つける能力を高い人には色々なタイプに方がいるとは思いますが、今回のような場面では、トウキョウトガリネズミはどんな形と色をしていて、どこにいる可能性が高いかという知識を持っている人が有利です。しかし、それが外れた場合、一端思い込むと見えているのに見ていないという現象も起きます。

大切なことは、まず知識を元に探し、見つからなかったらその知識に囚われず発想の転換が如何にできるかにかかっています。しかし、知識があるからこそ、見えてくる場合もあります。重要なのは、持っている知識を如何に柔軟に活用できるかにかかっていると思います。

 

回答 私はどこにいるでしょうか?(追加問題あり)

初級・中級は、簡単でしたが、上級はいかがだったでしょうか?       上級は顔が見えていない反則技だったかもしれませんが、ハマナスの枝を降りる途中の映像でした。回答は、以下のようになります。写真をクリックして拡大して確認してください。

一番下に、追加問題を出しておきました。ヒントは「頭隠して尻隠さず」です。

初級中級

上級

追加問題です。意外と簡単かもしれません。

 

 

 

 

トウキョウトガリネズミのメニューに、ミミズは載っていない!

オオアシトガリネズミがミミズを食べることは知られていますが、トウキョウトガリネズミは、ミミズを食べません。どちらかというと嫌いです。何度か与えて見たのですが、餌としてのメニューにはミミズは入っていないようで、基本的に出会うと避けます。むしろ逃げるといった方が良いような行動をとる個体もいます。

映像は、トウキョウトガリネズミがミミズを避けている様子です。これは、2020年9月の嶮暮帰島調査での映像です。偶然ミミズが墜落函の中に入ったところにトウキョウトガリネズミは落ちたようです。私が回収するまでに、かなりの時間が経っており、すでにミミズを何回も避けていたのだと思います。映像からはカットしていますが、私が回収に来た時には中央にトウキョウトガリネズミ、周辺の溝みたなところにミミズが居たのですが、ライトを当てたら両方とも驚いて動いたようで、移動した方向が偶然同じ位置になったという状況です。

季節はずれの換毛

2月から始まった換毛?

現在飼育している個体の写真です。冬なのに夏毛のままだったのですが、今頃換毛が始まりました。

正確には覚えていないのですが、1週間くらい前に尾の回りが黒くなっていると思っていたら、2~3日前にお尻のかなりの部分黒くなってきたのを確認しました。最近は、時間に余裕がなく、餌交換だけ行っている日々が続いていましたので、いつ最初に気がついたかを記録することを忘れてしまいました。もう少し前かもしれません。

通常なら、冬毛は白い差し毛が入って毛の密度が高くなりながら、腹側は白く、背側は黒くなり、夏毛に比べて全体的に黒と白のはっきりしてツートンになりますが、今回の個体は茶色いままで、このような冬毛もあるのかと不思議に思っていました。最近、一部では地肌のピンクが見えている部分もあり、体調不良で禿げてきたのかと心配していたところでした。

例年ですと、この時期は、ゆでミルワームと生ミルワームだけになってしまうことが多いのですが、今年は生きたコオロギをほぼ毎日与えていますので、栄養バランス的には今回の個体はかなり良いはずなのですが・・・(今年度は(財)東京動物園協会の助成をいただいていますので、資金的に余裕があることも大きく影響しています)。

外の飼育小屋で飼育していますので、自然光で、寒さにも十分さらされていて、今頃換毛するということは、「日長や気温が換毛を引き起こすトリガーになっていない?」のでしょうか。現状ではどのように考えて良いかはよくわかりません。継続して変化を見ていきたいと思います。その状況の変化は、今後ブログで継続的に紹介していきます。

 

トウキョウトガリネズミの時間と人間の時間 その1

「トウキョウトガリネズミは、何時間食べないと死ぬか」いう話の続きです。多くの人によく聞かれる内容です。「2時間食べないと死ぬというのは本当ですか?」。正直、私はこの質問は好きではありません。それは、「体が小さいから、2時間食べないと死ぬのは当然」という回答を期待されていると感じるからです。ただし、この2時間説は、どの種を対象としたものか定かではありませんが、トウキョウトガリネズミを観察してと言うわけではありません。なぜなら、トウキョウトガリネズミが極めて希にしか捕獲されない時から言われていたからです。種によっても異なる可能性もあるのですが、まずは、トウキョウトガリネズミから考えることにします。

これまでは、捕獲結果から2時間で即餓死する可能性は低く、3時間から5時間くらいではないかと推察されるという話でした。少し視点を変えて、人間時間とトウキョウトガリネズミ時間(以下トガリ時間)について考えて見ましょう。

まず、人間の1時間がトガリネズミに取って何時間に相当するのかを考えてみたいと思います。単純に寿命の総時間数での対比とします。人間は50年、トウキョウトガリネズミは、500日とします。人間は人生50年と言われていた時代があり、その頃は医療も発達していませんでしたので、これを自然状態における寿命とします。トウキョウトガリネズミは、飼育下における捕獲してからの寿命の平均値です。(端数を切り捨てています。)

そうすると、人間が死ぬまでの総時間数は50年×365日×24時間=438,000時間、トウキョウトガリネズミが死ぬまでの総時間数は500日×24時間=12,000時間となります。人間の1時間:トガリの1時間=人間の総時間数:トガリの総時間数ですから、トガリ時間は、12,000÷438,000=0.0273・・・になります。人間の1時間(60分)はトガリ時間1.62分(60分×0.027)相当になります。人間にとっての1時間は、トウキョウトガリネズミにとって37時間相当になります。すなわち人間時間での1時間は、トガリ時間37時間=1.54日、2時間は74時間=3.08日、3時間は、111時間=.4.62日、4時間は148時間=6.16日、5時間は185時間=7.7日となります。

人間が飲まず食わずの場合のデッドラインは人間時間で3日間(72時間)と言われていますので、生理機能が全く同じであれば、トガリ時間で72時間は、人間時間の2時間弱となり、2時間食べないと死ぬという説は、あながち的外れでは無い感じに思えます。

しかし、人間時間の1時間弱で死亡するなら、2時間間隔で行っている捕獲調査の生存個体回収率はもっと低くなるはずです。

口周りは常にお手入れしています。

トウキョウトガリネズミは、顔を言うのか、口の周りを前足で良く拭います。しかし、その行動は一瞬に近く、普通に撮っては動きが速くよく判りません。

今回は、ハイスピードモードでその行動が撮れましたので、載せてみました。その行動は、口ヒゲをきれいにしているように見えます。口ヒゲは、空中でセンサーの様に頻繁に利用していますので、その精度を保つためでしょうか。

すっきりした瞬間

最近は、何時間食べなくても生きられるか、餓死するとか、つらいテーマだったので、今日はちょっと余談で、すっきしりした瞬間がテーマです。

すなわち排泄の瞬間です。トウキョウトガリネズミが排泄する場合は、ある程度場所を決めて行うので堆積します。しかし、多くは隅で行うのでその瞬間の撮影が意外とできません。偶然、目の前で排泄したシーンです。

多くを語る必要もないと思います。見て、そうなんだと思っていただけばと思います。

「トガリネズミは2時間食べないと死ぬは説は大げさ」という説の詳細 1

昨日は2時間間隔で捕獲調査を行うことから、2時間食べないと死ぬというのは、大げさ、正しいとは言えないという話をしました。もう少し詳しく状況を紹介すると以下のようになります。

私が一人で嶮暮帰島で捕獲調査をしている○月○日です。今回は70個の墜落函を罠として設置しています。墜落函には餌は入っていませんので、墜落函(罠)に落ちることはすなわち絶食状態になっています。

22時になりました。本日2回目の罠の見回りです。1回目は20時に行っていて、1頭も捕獲できませんでした。さて、罠の見回りに出発です。設置している最初の罠に到達したのは22時5分頃です。それから、70個を見回ります。罠は約5m間隔で1列7個で、10列で設置しています。2列目2番目と8列目3番目にトウキョウトガリネズミが罠にかかっていました。最後までみて、作業するテントまで戻ると22時35分を過ぎていました。それから、トウキョウトガリネズミを飼育するケースを作成します。敷き藁と水を入れたのち、生きたミルワームとゆでたミルワームを3gずつ計って入れます。そして捕獲した1頭目の体重を量り、飼育ケースに入れて、捕獲時間と場所と体重のラベルを作って貼ります。2頭目も同じようにして飼育ケースに入れて終了です。2頭目が餌を食べられる状態になったのは23時5分を過ぎていました。

以上が、比較的良くあるパターンです。これから考えると1頭は1回目の20時に見回った直後に罠に落ち、もう1頭は22時5分に罠に落ちたかもしれません。すなわち、罠に落ちた時点ですでに、食べていない状況に2時間の差が生じている可能性があります。更に飼育ケースで餌が食べられる状態になるまで見回り開始から最大1時間はかかっています。ここで、すでに3時間食べていない個体とまだ1時間しか経過していない個体が存在する可能性があることになります。

しかし、22時に回収された個体が落ちる前のいつの時点が最後の食事であったのかについては判りません。しかし、2時間説をとると最大2時間食べていない可能性があるということですから、18時の時点で餌を食べた個体が20時に罠に落ち、22時30分に飼育テント着き、水と餌も入った飼育ケースに入れられたのが23時5分とすると最大で5時間5分食べていない可能性もあることになります。最短の個体は1時間ということになりますが、今回は2時間以上食べないと死ぬことを問題にしていますので、20時に餌を食べた直後に落ち22時に回収されて、1時間後に飼育ケースに入れられたという計3時間が最小値となります。

よって、絶食耐えられる時間は、3~5時間という幅の中にある可能性が高いと推察されます。また、見回り時間を4時間にすると生きた個体は捕獲出来ず、3時間にすると生きている個体も捕獲出来ますが、多くは死亡個体。2時間にするとほぼ98%の確率で生かして捕獲できるという事実もそれを裏付けていると考えられます。