「トガリネズミは2時間食べないと死ぬは説は大げさ」という説の詳細 1

昨日は2時間間隔で捕獲調査を行うことから、2時間食べないと死ぬというのは、大げさ、正しいとは言えないという話をしました。もう少し詳しく状況を紹介すると以下のようになります。

私が一人で嶮暮帰島で捕獲調査をしている○月○日です。今回は70個の墜落函を罠として設置しています。墜落函には餌は入っていませんので、墜落函(罠)に落ちることはすなわち絶食状態になっています。

22時になりました。本日2回目の罠の見回りです。1回目は20時に行っていて、1頭も捕獲できませんでした。さて、罠の見回りに出発です。設置している最初の罠に到達したのは22時5分頃です。それから、70個を見回ります。罠は約5m間隔で1列7個で、10列で設置しています。2列目2番目と8列目3番目にトウキョウトガリネズミが罠にかかっていました。最後までみて、作業するテントまで戻ると22時35分を過ぎていました。それから、トウキョウトガリネズミを飼育するケースを作成します。敷き藁と水を入れたのち、生きたミルワームとゆでたミルワームを3gずつ計って入れます。そして捕獲した1頭目の体重を量り、飼育ケースに入れて、捕獲時間と場所と体重のラベルを作って貼ります。2頭目も同じようにして飼育ケースに入れて終了です。2頭目が餌を食べられる状態になったのは23時5分を過ぎていました。

以上が、比較的良くあるパターンです。これから考えると1頭は1回目の20時に見回った直後に罠に落ち、もう1頭は22時5分に罠に落ちたかもしれません。すなわち、罠に落ちた時点ですでに、食べていない状況に2時間の差が生じている可能性があります。更に飼育ケースで餌が食べられる状態になるまで見回り開始から最大1時間はかかっています。ここで、すでに3時間食べていない個体とまだ1時間しか経過していない個体が存在する可能性があることになります。

しかし、22時に回収された個体が落ちる前のいつの時点が最後の食事であったのかについては判りません。しかし、2時間説をとると最大2時間食べていない可能性があるということですから、18時の時点で餌を食べた個体が20時に罠に落ち、22時30分に飼育テント着き、水と餌も入った飼育ケースに入れられたのが23時5分とすると最大で5時間5分食べていない可能性もあることになります。最短の個体は1時間ということになりますが、今回は2時間以上食べないと死ぬことを問題にしていますので、20時に餌を食べた直後に落ち22時に回収されて、1時間後に飼育ケースに入れられたという計3時間が最小値となります。

よって、絶食耐えられる時間は、3~5時間という幅の中にある可能性が高いと推察されます。また、見回り時間を4時間にすると生きた個体は捕獲出来ず、3時間にすると生きている個体も捕獲出来ますが、多くは死亡個体。2時間にするとほぼ98%の確率で生かして捕獲できるという事実もそれを裏付けていると考えられます。

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