おかげ様で、ダーウィンが来た!「世界最小のミクロ珍獣北海道で虫とバトル」高視聴率だったそうです!と補足です

昨日放映された ダーウィンが来た!「世界最小のミクロ珍獣北海道で虫とバトル」は、おかげさまで高視聴率だったと関係者の方から教えていただきました。多くの方に見ていただけてうれしいです。                 (その時間帯のトップだったとお聞きしました!!)

そこで、番組では伝えきれなかった内容を少しの間、補足していきたいと思います。番組を見ていただいた方はあのシーンの意味を、見ていなくても興味がある方はこのHPの動画ギャラリーなどを見てさらに興味を持っていただければとおもいます。

番組では、草の上を移動するシーンが普通のような感じで映像で流れていましたが、草の上を移動する行動をすることを発見できなかったら、あのような映像を撮ることは出来ませんでした。

2002年以降トウキョウトガリネズミを確実に捕獲出来る場所を見つけたことから、トウキョウトガリネズミの飼育が可能になりました。2回目に捕獲した時に、どこまで土に潜るのかと考え、捕獲した場所から10cmの深さで10cm×40cm程度の土を切り取り、ケースに入れ、その中にトウキョウトガリネズミを放しました。そこで、土に潜るのかと思いきや、なんと草の上に登ったのです。モグラの仲間なので、地中や物の隙間などの利用が主かと思っていたのですが、何と空間利用する時間が結構長いことも判ってきました。

トウキョウトガリネズミの大きさは、実物を見ていないと相当小さいという認識が十分ではありません。その小ささと行動の速さから、野外では草のなどの影にいれば撮影はできません。しかし、草の上のようなオープンなところを移動することが判ったことから、狙って撮影ができるようになったのです。北海道に生息している他の3種のトガリネズミも草に登ることは最近確認されたのですが。トウキョウトガリネズミは他種と比べると利用量が格段に大きいのです。

地上だけを移動する動物だったら、あの移動の速さから言って今回のような番組は製作できませんでした。

 

トウキョウトガリネズミが、ダーウィンが来た!「世界最小のミクロ珍獣北海道で虫とバトル」に出演しました

2021年5月30日 NHKのダーウィンが来た!「世界最小のミクロ珍獣北海道で虫とバトル」で、トウキョウトガリネズミが取り上げられました。

番組を見た後にこのHPにたどり着かれた方や久々の方は、ホーム画面から、ギャラリー(動画)のタブを選択して動画ライブラリの1~4をご覧ください。トウキョウトガリネズミの概要をまとめた動画をアップしてあります。

下記のギャラリーをクリックしてもいけます。ホームページの都合上トウキョウトガリネズミの生態は、1本の動画を3つに分割しています。トガリネズミとネズミの区別については、2020年10月から12月まで開催された北海道大学博物館の「トガリネズミ展」の期間中に会場の解説用に放映していた動画です。ホームページの都合上音声が着いていません。またパネルの参照という部分がありますが、今回は掲載できませんのでご了承ください。

ダーウィンが来た!とこの動画をみて、トウキョウトガリネズミを初めとするトガリネズミ類に興味を持っていただければ幸いです。

ギャラリー

トウキョウトガリネズミが長時間居るつらそうな場所

散形花序の根元に居る場合もあります。それは、複散形花序の時に比べて、とてもつらそうな体勢になります。飼育ケースに入れる植物にもよりますが、ぶら下がる体勢で、結構長時間いることがあります。そのようなつらい体勢にならなくても良いのにと思うのですが・・・。北海道に生息する他の3種では、ヒメトガリネズミで、複散形花序の根元に収まっていた個体が1頭いましたが、他の種では、このようにぶら下がる体勢でじっとしているところは未だ観察されていません。

散形花序の根元は狭いので、どうしてもぶら下がる体勢になってしまします。
折れた茎の先でも、このようにじっとしていて、寝ていると思われることがあります。
どう見ても楽そうには見えませんが、このような体勢で寝ているような時もあります。
このような体勢だと、無理をしている体勢とは一見見えません。でもよく見ると、小さなオオヨモギの葉の上に乗っているだけの様に見えます。決してそんなに安定している場所では無いような気もします。すべては、体重が極端に軽いからなせる技なのかもしれません。

トウキョウトガリネズミがいる場所 複散形花序と散形花序の違い

写真1 複散形花序の根元にいた跡
写真2 散形花序の上で寝ている状況

 

複散形花序の根元にいる場合、グラスの中にいるみたいにしっかりと体を保持してくれる状態になります(写真1)。これに対し散形花序の上にいる場合は、ただ乗っかっているだけになります(写真2)。

風が吹いて草が揺れていても、複散形花序内に居れば、そう簡単に振り落とされることはないですが、散形花序上は不安定です。また、複散形花序の中にいると天敵から見つかりずらいことが判りますが、散形花序の上は明らかに天敵に見つかりやすいと思われます。

散形花序で寝ているのは、飼育下で、風もなく、天敵もいないと安心しているからかもしれません。

オオアシトガリネズミ 見られていたら恥ずかしい?(仰向けから起き上がる)

人間で、他人に見られていたら、ちょっと恥ずかしいかもしれないシーンです。

オオアシトガリネズミが、飼育ケースの連結部分になっている筒に登ろうとして何回も失敗して落ちているのですが、そのうち完全に仰向けにひっくり返ってしまいました。完全にへそ天状態になってしまい、起き上がるのがちょっと大変だったようです。赤外線で撮影されているため、白黒なのでよく見ないとわかりにくいかもしれませんが、背中は黒く、腹は白く写ります。体全体が白っぽいのが黒くなったら、それは正常な状態に戻れたということです。

わかりましたでしょうか?1回軽く半身状態で腹をみせましたが、すぐに立ち直りました。しかし、その次は完全に仰向けになってしまい、最後は背中で少し雑巾がけみたいな状態になって、元に戻りました。飼育ケースは衣装ケースを利用したものですので、底はそもそも滑りやすく、引っかかりが少ないため、元になかなか戻れなかったのだと思います。

 

トウキョウトガリネズミのねぐらつくり 5

飼育下で作成する巣の一般的な大きさ
上記の写真と同じ巣

これまでの動画の行動で、作られる巣の形が上記の写真のようになります。実際の大きさは、そこにある草の量と密度に左右されます。

写真のような大きさは、比較的標準的な大きさになります。大きさは、巣を作った場所の草の厚み、密度(草の絡み具合)や量の影響をかなり受けますが、草の量が少なく、草の密度も高くないとスカスカの長径5cm弱、高さ3cm弱の巣を作ることもあります。この場合は、巣として編みこんでいない草を除きますと、中が見えてしまうような骨格だけ見たいな巣になります。また、草の厚みがあるところでは、写真のように長径7cm程度、高さ5cm程度のしっかりした巣を作ります。

草の厚みや量がいかにあっても、明らかにトウキョウトガリネズミが自身で巣を丸くするために引き込んだ草とそうで無い草との違いは明らかにわかります。

トウキョウトガリネズミのねぐらつくり 4

巣作り開始時の状況 赤丸を比べてください。
巣作り完成時 丸くなり、周辺の草が流木側に寄っているのが判ります。

巣作りを始めて5日後の状況です。赤丸の草の状況を比べて見てください。草が流木側により、少し丸まったような形状になっているのが判るでしょうか?

5日後なので、アングルが少しずれていますが、左下に同じトウキョウトガリネズミが写っているので、それで大きさの割合の比較ができると思います。いつ完成したと判断するのかは難しいですが、明らかに周辺より草が集められて、草の密度が高くなっており、球体ではないですが比較的丸みを帯びた草玉みたいなものを形成したが判ります。

この中で、じっとしいることが時々観察されます。

 

トウキョウトガリネズミのねぐらつくり 3

明るい時にも巣作りをしています。長い草を引っ張ろうしたりしていますが、抵抗があり、体が持ち上がってしまうこともあるようです。映像は、見にくいのでかなり明るく変更していますが、9時を過ぎているので、外はもう明るいです。完全な夜行性では無いことが判ります。

小さい体なので、やはり巣作りは大変な作業みたいです。

トウキョウトガリネズミのねぐらつくり 2

この飼育ケースに、牧草を入れたのは2020年10月31日の21:53です。実際に牧草の引き込みを始めたのは、11月1日16:23からです。その後、19:19までの2時間56分間、牧草の引き込みをずっと行っています。この間97回記録されています。この後、翌日の9:00頃まで、この作業はしませんでした。

映像から判るように、体重が軽いでの草を引っ張ろうとしますが、体が浮いてしまいます。下がアクリル板なので滑りやすいというのもあるでしょうが、全体重をかけないと草が抜けないという、結構重労働を行っていることが判ります。

 

トウキョウトガリネズミのねぐらつくり 1

 

トウキョウトガリネズミは、草を球状に丸めてその中で休みます。この程度の大きさの飼育ケースでも、3から5箇所の草を丸めたねぐらのための巣を作ります。今回は、草の場所や量を少なくしてみて、巣作りの様子の撮影を試みました。

この映像は、巣作りをするために草を引きこんいる作業です。かなり長い草も引き込んでします。引き込む場合、単に力任せではなく、工夫しているのが判ります。