あけまして おめでとうございます

 あけまして おめでとうございます 今年もよろしくお願いします。

今年こそ、トウキョウトガリネズミの出産を見たいと強く願って研究をしますので、引き続き、ご支援、ご協力のほどよろしくお願いします。

現在も1頭のトウキョウトガリネズミが、外気温とほぼ同じ状況で元気で活動しています。野外では、本来草は枯れ、雪に埋もれているため、草の上には登ることはないと考えられます。しかし、雪が無い飼育小屋では、私が餌やりに行くと出てきて、必ず草の上に登り、新しい餌が入れられるまで待っています。学習能力の高さを実感させられます。これまでの最低気温はー9℃でしたが、元気に活動しています。

今朝の状況
現在の飼育小屋の状況

北大総合博物館の展示は本日終了しましが、霧多布湿原センターのパネル展は1月1日まで行っています。

12月15日の霧多布湿原センターにおける講演会の様子

お陰様で、北大総合博物館のトガリネズミとネズミの生体展示が本日で終了しました。多数の方々にお越しいだだきありがとうございました。また、12月15日の北海道厚岸郡浜中町霧多布湿原センターにおける講演会と12月21日の北大総合博物館のセミナーにも多くの方々に参加していただき、無事終了することができました。ありがとうございました。改めて、札幌においてはトガリネズミ達の世話をしていただきました学生さん達と常に見守っていただきました北大博物館の方々、浜中町では、役場職員および霧多布湿原センター職員の方々に御礼申し上げます。なお、霧多布湿原センターでは1月1日までトウキョウトガリネズミのパネル展は行っているので、機会があれば見に行っていただければと思います。

12月21日の北大総合博物館のセミナーの様子

展示も3年目になると脱走事件など色々とハプニングが起こりました。特にトウキョウトガリネズミが死亡したことは大変申し訳ありませんでした。しかし、死亡を知らずに見にみていただいた方からは、死亡を知っても「来年もまた見に来るから楽しみしている・・」と温かい言葉を多数いただきました。機会があればまた生体展示を続けてみたいと思います。

これから、何回かはこの2つの講演会でお話した内容についてご紹介したいと思います。

トウキョウトガリネズミのひげとペットボトル

 トウキョウトガリネズミのひげには長短ありますが、吻の先端から根元方向に長くなり、最長で約10mmになります。幅が約3mmありますので、体の中心から直径約23mmの範囲(4.15㎠)をひげで感知していると考えられます。体の幅が約10mm強ありますので、体側から約5mmの範囲(体幅の倍)を探知範囲としていると考えらます。

 実はこの範囲、ペットボトルの飲み口とほぼ同じ直径なのです。

 

北大博物館展示のトウキョウトガリネズミ死亡

氷点下でも元気に活動している我が家の個体

昨日12月3日の朝に、北大総合博物館で展示していたトウキョウトガリネズミが死亡しました。残念です。捕獲時の9月16日の体重は1.9g、展示時の11月12日は2.2g、死亡時は1.7gだったので、何らかの原因で消耗して死亡したと思われます。

トウキョウトガリネズミに限らず、北海道産のトガリネズミを飼育していると突然死を良く経験します。一番びっくりしたのは、トウキョウトガリネズミとオオアシトガリネズミを合わせて8頭飼育していたときに、確か3番目に餌替えをしたトウキョウトガリネズミの個体が、全部の餌替えを終了して最終確認をしていたら、死亡していたということがありました。その間30分も経っていなかったと思います。餌を食べに出てきて、生きているのを確認していたにも関わらずです。

結構生命力が強いと思うこともあれば、原因不明で突然死亡してしまうこともあります。弱ってきて、ああダメかなあと思って死亡することよりも、昨日まであんなに元気だったのに・・と思うことが圧倒的に多いので、自宅で飼育している個体も毎回、生きているのを確認するまではドキドキします。

なお、我が家で飼育している個体は、冬季間どのような生活をしているかを調べるために野外と同じ環境で飼育しているため、暖かい環境にはもう戻せません。したがって、博物館では今回は展示できませんので、ご了承ください。

トウキョウトガリネズミの鳴き声

11月30日に北大総合博物館でトガリネズミ展の解説をしていたところ、昨年もトガリネズミ展を見た女性から、「トウキョウトガリネズミは鳴きますか」と質問されました。よく話を聞くと、前回トウキョウトガリネズミが板の上から落ちた時に、驚いたのか、痛かったのか「チィ」という短い鳴き声を聞いたということでした。しかし、トガリのtwitterでは、鳴き声の書き込みが全く無いので、空耳だったのかなと不思議に思っていたそうです。

トウキョウトガリネズミは、極希に人間の耳で聞こえるような「チィ」というような鳴き声を出すことがあります。基本的にはトウキョウトガリネズミは、人間に聞こえる音で鳴くことはほどんどありません。しかし、個体によっては、ビデオにあるような人間が聞こえる探索音みたいな音をだします。(トウキョウトガリネズミが出す超音波については、2018年12月16日のトガリネズミがカメラが苦手は訳を参照ください。)

トウキョウトガリネズミの鳴き声を聞いた女性は、ラッキーだと思います。トガリネズミ展の会期も12月26日まで延期されることになりましたので、展示を見に行かれる方は是非トウキョウトガリネズミが鳴いていないか確かめてみてください。

北大総合博物館に展示中のトウキョウトガリネズミ その1

 北大総合博物館にトガリネズミ達が展示されて、2週間が経過しました。私は、土日の13時頃から2時間程度解説員として参加しています。

多数の方に来ていただきありがとうございます。しかし、かなりの方が、結局トウキョウトガリネズミやオオアシトガリネズミなどの展示個体を見られずに帰られるようです。博物館で働いている方でも、なかなかタイミングが合わずトウキョウトガリネズミを見るに1週間近くかかった方もいたようです。まだ数週間あるので、これから見に行かれる方やもう一度行こうと思っている方の参考になる情報を紹介したいと思います。

必ずトウキョウトガリネズミの姿を見ることができるのは、生きもの係の学生さんが行う12時から13時の間に行われる餌やりの時です。トウキョウトガリネズミは飼育ケースの扉が開くと反応して出てきます。ほとんどの場合、上記の写真に示した穴の開いたキューブの中から出てきます。生きもの係の人が餌を一番上の板の上にミルワームを置くので、そこで食べる様子が見られます。時々、一番上の板の上で佇んでいることもあります。映像は、展示個体のアップです。音に敏感に反応しますので、静かに見てください。

北海道浜中町で多摩動物公園とトウキョウトガリネズミのイベントを開催します。

 2019年12月15日に北海道厚岸郡浜中町霧多布湿原センターで、「浜中町と多摩動物公園を結びトウキョウトガリネズミー小さな生きものが結ぶ縁ー」講演会を開催します。また、12月4日から1月1日までパネル展も同時開催します。

                     かつてトウキョウトガリネズミは、偶然でしか捕獲できないと言われていましたが、私が浜中町でトウキョウトガリネズミを捕獲できる場所を発見したことをきっかけに、浜中町と多摩動物公園とで、本種の生息地の保全と本種の生態を解明するために、パートナーシップを締結してもらい12年が経ちました。現在本種が常時展示されているのは世界でも多摩動物公園だけです。浜中町のトウキョウトガリネズミが、多摩動物公園でどのような生活をしているのか、またどこまで生態が解ってきたのかを紹介します。当日は、現在私が北海道で飼育しているトウキョウトガリネズミの生体も展示する予定です(生き物なので確約はできませんが)。ぜひ、世界最小級の哺乳類を見にお越しください。

浜中町と多摩動物公園を結ぶトウキョウトガリネズミ             ー小さな生きものが結ぶ縁ー

 場 所 北海道厚岸郡浜中町四番沢 霧多布湿原センター 

  • 講演会 12月15日(日)14:00から16:00 
  • 入場無料、予約不要、定員50名 
  • パネル展 12月4日~1月1日
  • 開館時間 9:00~17:00(休館日 火曜日)

 

本日展示の準備をしました

展示状況1 本日、北大総合博物館は休館日でしたが、トガリネズミ展の準備を飼育支援員としてトガリネズミの世話してくれる北大の学生さん達と一緒に行いました。

 展示期間中、飼育支援員が、トガリネズミの日々の様子やごはんタイムなどの情報をTwitterで発信していますので、そちらも見てください。詳しくは下記をご覧ください。https://www.museum.hokudai.ac.jp/display/special/15611/

 展示されている生体は、トウキョウトガリネズミ、オオアシトガリネズミ、エゾカアカネズミ、エゾヤチネズミの4種です。今回は、大舘先生が来年の干支であるネズミと異なる点にこだわって解説を作成されましたので、それも見どころです。大舘先生は、ウイークデーを中心に、私は土日を中心に昼から1~2時間程度解説員として参加する予定です。

 今回の展示では、昨年まで流していたトウキョウトガリネズミの映像をリニューアルしました。留学生の飼育支援員が、前足を動かす仕草を気に入ってくれたみたいです。

 

トガリネズミ展を11月12日から北大総合博物館で開催します

 11月12日(火)から北海道大学総合博物館1階 北極域研究センター展示室でトガリネズミ展を開催することになりました。私が捕獲した生きたトウキョウトガリネズミ(♂)も展示しますので、興味のある方は是非見に来てください。

 生きたトウキョウトガリネズミを北大総合博物館で展示するのは今回で3年連続となりました。一昨年はとにかく生きたトウキョウトガリネズミを多くの人に見てもらうことを、去年は北海道に生息するトガリネズミ属全4種を見てもらうことを(国内で初の試み)、今回は来年がネズミ年ということもあり、トガリネズミとネズミが大きく違うことを知ってもらうことを目的として急遽開催することになりました。

 今回も北海道大学低温科学研究所の大舘智志先生の要請を受けて協力させてもらっています。これから、開催期間中見どころを随時紹介していきますのでよろしくお願いします。

 生きたトウキョウトガリネズミを一般の方が見ることができるのは、現時点では世界でも東京の多摩動物公園(通年)と北大博物館(12月15日までの予定)の2カ所しかありません。この機会に世界最小級の哺乳類を大きさを体感してください。

 

 小さなちいさな哺乳類 トガリネズミ展

ー私たちはけっして「鼠」の仲間ではありませんー

 開催期間 2019年11月12日(火)~12月15日(日)

 場所   北海道大学総合博物館1階 北極域研究センター展示室

 開館時間 10:00~17:00 月曜休館(祝日の場合は翌日休暇)

 入場無料 

 

今シーズンは、気合いを入れて少し頑張りました

 10月の捕獲調査で、一応今シーズンの捕獲調査は終了です。長年研究をしてきたのですが、これまで繁殖生態(特に出産を確認できない)を明らかにすることができませんでした。このままではダメだと思い、今年はこれまで解明できない大きな要因と考えられる捕獲調査回数を増やすことと、飼育環境をより自然状態に近づけることを目標に4月~10月末まで捕獲調査と飼育環境の整備を行ってきました。

 今年は、7回捕獲調査を行いました。過去最高の調査回数でしたが(年1~2回が普通で、過去最高は年5回)、トウキョウトガリネズミが1頭も捕獲できなかった調査が3回、内2回は他のトガリネズミも捕獲できませんでした。今回は、複数の調査地(これまでの実績からは毎回捕獲できる場所でしたが・・・)で行ったこともありますが、こんなに捕獲できなかった年は初めてでした。

 また、これまでは書斎及びベランダで飼育していたのですが、色々な支障が生じ、また飼育観察方法に限界を感じていたので、小さな飼育小屋を庭に建てました。小屋は、建設会社に依頼しました。ただ、窓はありますが、外壁は合板を打ち付けてだけで、もちろん断熱材も内壁も無しです。室内の棚などは自分で作りました。冬季はほぼ外気と同じくらいになる予定です。

 努力した割には色々な障害との戦いで、成果があまりなかったのですが、しかし、今回初めてということもありましたので、これから紹介していきたいと思います。