アルビノのトガリネズミ(エゾトガリネズミ)と恥ずかしい思い出

以前、パンダもどきのように白化したオオアシトガリネズミについて書きました。白化については、白い度合いは色々がありますが、それほど珍しい訳では無いですが、アルビノはとても珍しいと書きました。

下記は、アルビノのエゾトガリネズミの写真です。目まで真っ白です。北海道厚岸郡浜中町の酪農家である菅井さんから、提供していただいた個体です。自宅のネコが咥えて持ってきた個体がまだ生きていたので、当時浜中町にいた私に届けてくれました。最初は血だらけで、すぐに死ぬかと思ったのですが、結構長生きしてくれました。しかし、この個体には恥ずかしい思い出があります。

私はアルビノで死にかかっていた個体を生かすことで頭がいっぱいだったのか、一目でオオアシトガリネズミと思い込んでしまい、死亡後もそれを疑いもしませんでした。死亡時に体の各部の計測をしていたのですが、オオアシトガリネズミの計測値としてもおかしさを感じなかったので、そのままオオアシトガリネズミと思い込んだままでした。とは言え、珍しいので北海道大学に標本として寄贈することにしました。とても珍しい例なので北海道大学の大舘さんと共著で論文にする際に、大舘さんが少し小さいのでは無いかということで、上顎の歯列で確認したところエゾトガリネズミということが判りました。ということで無事エゾトガリネズミのアルビノ例として論文化されました。

このような希少な例は特にですが、基本に則って同定すべきなのを、直感的に思い込んだままにして、すべての部位での確認をせず放置して、間違ってしまったという恥ずかしい事例です。私の中では、いつもこれを見て「基本に忠実に」と反省させられる、忘れられない貴重な出来事になりました。

 

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